ユニセフの誕生と日本ユニセフが歩んできた歴史

国連の補助機関に位置づけられるユニセフは、1946年に子供を対象とした戦後の緊急援助を目的に設立されています。
本部のあるニューヨークは今でも活動の中心で、現在は日本を含めて世界各地に現地組織が展開中です。

 

1977年にユニセフ本部の承認を受けた日本委員会が始動

1949年から約15年間ユニセフの援助を受けた日本は、戦後復興と経済成長を遂げ、1977年にユニセフ本部の承認を受けた日本委員会が始動しています。
日本ユニセフは、当時支援活動を行っていた日本国際連合協会から独立する形で、1950年に任意団体が発足しました。

募金のユニセフ本部への送金に、宣伝や啓発といった活動の範囲が広がり、今では日本の現地組織として重要な役割を担っています。
ユニセフの基本方針を提唱したり、開発途上国の子供の人権の確認と、必要に応じた援助事業に従事する組織です。

日本のユニセフには、日本ユニセフとは別に事務所が存在しますが、こちらは政府に支援を求めたり渉外窓口として活用されます。
民間からの寄付は受け付けていませんし、そもそも役割が違いますから、この点を理解する必要があると考えられます。

本部直属の組織なのか、民間組織かという疑問が生じるのは無理もありませんが、日本ユニセフ自体は民間向けに活動する法人団体と理解するのが適切です。
現在は公益財団法人として、先進国を含む世界34の国々と地域に設置される、ユニセフ国内委員会の一部を担当しています。

 

同じ組織ではなく運営母体が異なるのは間違いない事実

ユニセフ本部の東京事務所と合同で活動することもあるので、2つの組織が混同されたり、違いが分かりにくいというのは確かです。

しかし、同じ組織ではなく運営母体が異なるのは間違いない事実です。
国内委員会は独立性が約束されていて、独自の活動が認められていますから、フットワークの軽さや柔軟な対応力が発揮できます。

ある時はユニセフ本部の顔、またある時は国内向けに情報を提供したり寄付を募る組織と、2つの顔があることが分かります。
ただ、活動内容は一貫して困窮する子供の為ですし、地道な活動の努力によって多くの子供が救われています。

例えば2018年には、栄養不良に陥る約400万人の子供が治療を受けたり、23億回ものワクチン接種の功績をあげました。

 

日本ユニセフの活動実績は素晴らしい

日本はアメリカに続き、世界的に見ても拠出額が大きい国ですが、その実績の達成には日本ユニセフの活動があります。
1千万人以上の子供に学用品が届けられたのも、日本国内で世界の子供の状況を伝え、寄付を募ったことが大きいといえます。

これらの活動実績は一部に過ぎませんし、他にも保健やHIV問題に水などの衛生、栄養問題や教育と子供の保護に取り組んでいます。
活動内容はオープンで収支も公表していますし、ユニセフ本部との比較が行えるようになっているので、お金に関する情報公開もクリーンです。

日本で集められたお金が、本部に送られてどのように使われているか分かりますから、安心して寄付できたり大切なお金を預けられるわけです。
善意で寄付をする人はやはり、援助を必要とする子供の元に支援が届けられるかどうかが気になるものです。

 

総額210億円に迫る勢いで寄付が集まる理由

総額210億円に迫る勢いで寄付が集まるのは、日本ユニセフの姿勢に信頼感があって、多くの人達に認められているからこそです。
活動エリアが広く、少額から寄付しやすいのも寄付金が集まる理由の1つですが、基本的な信頼がなければ善意のお金は集まらないでしょう。
日本は戦後、脱脂粉乳の支援のおかげで元気に成長できた子供が少なくないです。

1959年にも台風被害に関する毛布の支援があって、援助が終了した1964年の時点で15年間に総額約65億円の支援が行われました。
援助する側に回った現在の日本ユニセフは、ユニセフの活動理念と共に、当時の支援の感謝を胸に活動を続けています。

1970年に万博で1億円を目標とした募金活動をしたり、1981年には1億8千万円以上の学校募金を達成しました。
近年は、2011年に大震災の被害で半世紀ぶりの援助活動が始まったり、2015年に創立60周年を迎えるなど精力的な活動が続きます。

 

まとめ

世界には紛争で故郷を失った難民や、戦争で先が見えない状況にいる人達が今も存在します。
その影響を受けているのは大人に限らず、力の弱い子供も例外ではないです。
むしろ、子供の方が影響の度合いは大きく、大人に成長する過程で様々な困難にぶつかっているといえるでしょう。

お腹いっぱい食事が食べられたり、暖かい布団で眠れるのはある意味幸せなことで、当たり前のようで当たり前ではないものです。
衛生的で健康の不安がないことや、希望に繋がる教育が受けられるのも、努力があってこその結果です。

紛争や戦争だけでなく、自然災害も人々の平穏な日常を奪う問題ですが、この問題についても集められたお金が有効活用され役立つ援助の提供が行われます。
人件費や活動費用が発生するので、募金の100%が支援に回るわけではありませんが、無駄を極力抑えて80%以上がユニセフ本部に拠出されています。